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Media & Entertainment 向け re: Invent 2021 / InterBEE 2021 / Siggraph Asia 2021 Recap セミナー 開催報告
はじめに
2022 年 2 月 3 日に Media & Entertainment (M&E) 業界のお客様を主な対象として、昨年開催された AWS re:Invent 2021、InterBEE 2021、Siggraph Asia 2021 の Recap イベントを実施しました。
昨年 2021 年 11 月 29 日(月) 〜 12 月 3 日(金)にわたって開催された re:Invent では、M&E 業界に対する AWS のさまざまな取り組みや世界中のお客様の最新事例が紹介されるとともに、数多くの AWS 新サービス、新機能も発表されました。
国内では、11 月の Inter BEE 2021 で、お客様に最新事例を発表いただきました。東京開催となった 12 月の Siggraph Asia 2021 では、コンテンツ制作ソリューションについてのキーノートスピーチセッションも実施されました。
今回開催された re:Cap イベントでは、これら 3 つのカンファレンスで紹介されたトピック を、大きく 2 つのパートに分けてご紹介しました。前半のパートでは、re:invent 前後で発表された M&E 業界に関連するサービスアップデートと re:Invent セッションの紹介を、後半のパートでは、Inter BEE 2021 と Siggraph Asia 2021 で紹介された、領域ごとのお客様最新事例をご紹介しました。
当日の資料はこちらの URL からご利用いただけます。また各プレゼンテーションの詳細、セッションの録画、事例へのポインタは、このブログ記事でご覧いただけます。
AWS re:Invent re:Cap
スピーカー : アマゾンウェブサービスジャパン 石井悠太
ソリューションアーキテクトの石井より、re:Invent の開催概要から、re:Invent の前後で行われたサービスアップデート、そして M&E 関連の注目セッションをピックアップしてご紹介しました。
開催概要
re:Invent は年に 1 度開催される世界規模の AWS の学習型カンファレンスで、基調講演やサービスアップデート、最新事例などの紹介があります。一昨年の re:Invent 2020 はコロナウイルスの感染拡大の影響で、オンラインでの開催でしたが、昨年の re:Invent 2021 はオフラインとオンラインを組み合わせたハイブリッド開催となりました。
サービスアップデート
今回の re:Invent の期間中で 100 を超えるアップデートが発表され、前後の期間も合わせるとさらに多くのアップデートがありました。今回は、その中でも M&E 業界のお客様に関連するトピックを厳選して、紹介しました。
Storage Services
ストレージ領域では、M&E 業界のほぼ全てのお客様が利用していると言っても過言ではない Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) で強力なアップデートがありました。幅広いワークロードに合わせてご利用いただけるように AWS では、レイテンシや可用性、コストの異なる複数のストレージクラスを提供しており、用途に合わせて複数のストレージクラスを組み合わせることで高いコストパフォーマンスを実現することができます。今回はこのストレージクラスについて 3 点アップデートがありました。
- S3 Standard-Infrequent Access (S3 Standard-IA) および S3 One Zone-IA でストレージコストの値下げ (Blog)
- 新ストレージクラス S3 Glacier Instant Retrieval の登場 (Blog)
- S3 Glacier のS3 Glacier Flexible Retrieval への改名と復元コスト・ストレージコストの値下げ (Blog)
S3 Glacier Instant Retrieval はアーカイブクラスの低額なストレージコストながら S3 Standard と同じスループットでミリ秒単位でのアーカイブデータへのアクセスを可能にします。ただ、復元せずに取り出せることができる分取り出し価格は高めに設定されているので、中長期的に保存され、アクセス時には素早く取り出されるけれども、アクセス頻度は少なく、年に数回程度のようなユースケースでコストを最適化します。(Blog)
今回発表された新たなストレージクラスも含め、各ワークロードのアクセスパターンや保存期間に合わせて、柔軟にストレージクラスを選択することでより高いコストパフォーマンスを実現することができます。
また、データ転送料金の無料利用枠についても大幅なアップデートがありました。 (Blog) AWS リージョンからインターネットへのデータ転送について、従来はリージョンごとに 1 ヶ月あたり 1GB まで無料でご利用いただけたものが、今回 1 ヶ月で 100GB まで無料でご利用いただけるようになりました。また、Amazon CloudFront からのデータ転送の無料利用枠についても従来はアカウント新規作成から最初の 12 ヶ月のみ 50GB までだったものが、期間の制約が廃止され、無期限で毎月 1TB まで増量されて無料での利用が可能となりました。
Computing Services
Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) では、グラフィクスでの利用に適した g ファミリーから新たに第 5 世代のインスタンスの提供が開始されました。(Blog) クラウド編集やレンダリングなどのコンテンツ制作や機械学習の推論などの領域で高いコストパフォーマンスを発揮することが可能です。実際に、Netflix では利用がすすめられており、1 世代前の g4dn インスタンスと比較して最大 3 倍近くのパフォーマンスを発揮するクラウド上のワークステーションとして、コンテンツクリエイターに活用されていると紹介されました。
Database Services
データベース領域では、M&E 業界に限らず幅広いお客様に利用されている Amazon Aurora について、新たに Aurora MySQL v3 の提供が開始されたことが発表されました。(Blog) v3 はリリース時点で My SQL 8.0.23 と互換性があり、すでに展開されている Global Database、RDS Proxy、Parallel Query などの Aurora の主要な機能もサポートしており、Aurora MySQL をご利用いただける全てのリージョンで利用可能となっています。また、Aurora MySQL を利用する際のバージョン選定の指針についてもアナウンスがあり、新規ワークロードや最新機能の利用を優先する場合には v3 が推奨されることが示されました。(Blog)
Media Services
Media Services からは映像伝送業務に関わるお客様向けのアップデートがありました。信頼性が高く安全かつ柔軟な映像伝送ワークフローを構築可能な AWS Elemental MediaConnect において、Fujitsu QoS プロトコルのサポートを開始しました。これにより、エンコーダーやデコーダーの制約で、これまで MediaConnect をご利用いただけなかったお客様にも利用していただけるようになるので、活用いただけるお客様の幅が広がることが期待されます。
セッション紹介
Transform and innovate with AWS for media and entertainment
AWS M&E CTO Eric Iversen が登壇した基調講演では、AWS を使った M&E 業界の各方面での取り組みが紹介されました。ブロードキャスト領域では、現在 2,900 以上のBroadCaster のチャンネルが AWS をオリジンとしてしていることが発表されました。他にも、Netflix やPrime Video などの OTT 事業者での利用や、ブンデスリーガなどでのデータ分析領域での AWS の活用など、多岐にわたる領域で AWS が M&E 業界のお客様と共に歩んできたお話がありました。このセッションの後半では、WarnerMedia DTC のDTC Eng & Op 担当副社長 Jason Lenhart 氏と一緒にパンデミック下で HBO Max の開発から立ち上げをいかに成功させたかを軌跡と共に振り返りました。
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A new reality for content production
コンテンツ制作に関わる方を対象に、クリエイティブワークフローを加速するために利用可能なサービスや機能、お客様事例を紹介していました。コンテンツ制作において多くのお客様はコンテンツパイプラインの作成やコストのコントロールに頭を悩ませていますが、AWSではこれらのトレンドを押さえたコンポーネントを提供しており、Amazon Nimble Studio をご利用いただくことで AWS 上に素早くコンテンツ制作に必要な環境を構築できることが紹介されました。セッションの中では、Pop Family Entertainment 社の COO Gerry Travers 氏が Amazon Nimble Studio の活用事例を紹介し、その中で複雑化したパイプラインをシンプルにするための要件整理のプロセスも説明されました。
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Transforming broadcast production, playout, and fan experiences
このセッションでは、Broadcast 領域で、AWS を活用した先進的なお客様事例が複数紹介されました。Sky Newsが国連の気候変動対策の会議 COP 26 でライブプロダクション環境を構築した際は、サービスリリースまでの期間が大幅に短縮されました。従来オンプレミス環境では構築に 6 ヶ月、テストに 1 ヶ月かかっていた規模のイベントだったところを、パートナーソリューションの活用によって、初期検討から立ち上げ完了までわずか 6 週間で達成できたことが説明されました。Discovery 社では、オンプレミス環境でプレイアウトしていた頃と比較して、TCO を約 61 % 削減できたそうです。これに伴い、運用の負担軽減やアジリティの向上など TCO のみならず幅広いベネフィットをどのようにして得られたかについても紹介されています。Discovery Sports では自転車競技、CBC Sports ではサッカーのライブ配信を AWS 上で構築した際の先進的な構築事例も説明されました。
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Inter BEE 2021 / Siggraph Asia 2021 re:Cap
スピーカー : アマゾンウェブサービスジャパン ソリューションアーキテクト 小南英司
後半のパートでは、ソリューションアーキテクトの小南英司より、Inter BEE 2021とSiggraph Asia 2021で紹介されたお客様事例をわかりやすくまとめてお話ししました。
AWSでは、メディアワークフローを、編集や制作を行うコンテンツ制作&ポストプロダクション、素材やアーカイブの管理を行うコンテンツ&ワークフロー管理、エンドユーザーに届けるコンテンツ配信&送出、それらを下支えする機械学習&データ分析の4つの領域に分割します。これらの4つの領域でのお客様が抱える悩みやチャレンジと共にAWSを活用してどう乗り越えたのかを解説しました。
コンテンツ制作&ポストプロダクション
朝日放送テレビ株式会社 様
vMixやAMPPをAmazon EC2上で稼働させることで、リモートプロダクション環境を実現し、迅速な番組制作環境の構築と少人数での運用を実現しました。サブからAWS上のビデオスイッチャーや音声ミキサーを操作することができて、実際に地上波の生放送番組にて運用されている事例です。
登壇事例の詳細はこちらの Blog にて紹介されています。
株式会社 Abema TV 様
Amazon Workspaces 上でクラウド編集環境を構築し、リモート編集をすることができるようになりました。出社せずとも外部から編集できるようになったというベネフィットに加えて、AWS のサービスを使うことで得られるセキュリティやアジリティのメリットも享受したと紹介されました。
株式会社 Imagination 様
こちらは、Siggraph Asia 2021で紹介された Amazon Nimble Studio の活用事例です。4K/8K 素材の登場により多様化したアセットを一元的に管理するために Amazon Nimble Studio の導入を決定しました。これにより、慣れ親しんだ操作性を維持しながら、世界中のクリエイターと素材を簡単に共有してコラボレーションすることができるようになりました。
セッション情報はこちらの URL からご覧になれます。
コンテンツ & ワークフロー管理
株式会社 Abema TV 様
Abema TV 様は、コンテンツサプライチェーンをクラウドに移行し、Cloud MAM を用いて大規模な動画コンテンツの管理を最適化しました。動画素材の納品から、アーカイブの運用までの一連のワークフローを人手による運用から、マネージドサービスを積極的に活用したリモートシステムでのオペレーションに変えることで、セキュアかつスケーラブルな構成を実現しました。
登壇事例の詳細はこちらの Blog にて紹介されています。
機械学習 & データ分析
株式会社 NTT ぷらら 様
NTTぷらら様は、卓球の T リーグの配信において、人工知能を用いた映像コンテンツの作成に向けた進めています。ライブストリームを AWS に取り込み、スタッツデータと連動させてダイジェスト映像を AI が自動で作成しています。これらの映像コンテンツはエンコード設備を経由して、ユーザーに配信されており、全ての機能が商用ベースで既に動いています。
登壇事例の詳細はこちらの Blog にて紹介されています。
コンテンツ配信 & 送出
株式会社 U-NEXT.
2021 年 6 月に開催されたアースモンダミンカップでは、複数のカメラで撮影された映像を配信し、視聴者が自由に映像を切り替えることができるマルチチャンネル配信にチャレンジしました。この配信には、AWS メディアサービスが使われ、配信には CloudFront が使用されています。また、CloudFront のリアルタイムログを取得して、視聴者の映像品質をリアルタイムでモニタリングして確認していたり、視聴者数やチケットの売り上げなどデータ分析を行うためのダッシュボートも作成しています。これらのシステムは AWS が公開しているモデルを転用することで設計工数を大幅に削減することができました。
登壇事例の詳細はこちらの Blog にて紹介されています。
おわりに
本セッションでは、AWS re:Invent 2021、Inter BEE 2021、Siggraph Asia 2021の振り返りとして、2 人のスピーカーが、M&E 業界に関連するお客様のためにトピック を厳選して、講演の見所や、AWS のサービスアップデート、お客様事例を中心にご紹介させていただきました。セミナーにご参加いただいた方、誠にありがとうございました。参加いただけなかった方も、本ブログから動画や資料に触れることで、今後の AWS 活用のヒントになりましたら幸いです。
このブログは Solutions Architect 寺山が担当しました。